ふたりの演出家から見た草彅ウイ
【明日開催!】
— KAAT神奈川芸術劇場 (@kaatjp) 2021年11月30日
「#アルトゥロ・ウイの興隆」演出の #白井晃 前芸術監督と、#長塚圭史 芸術監督によるインスタライブは明日開催です!リアルタイムのコメント大歓迎!アーカイブも公開予定です。
■日時
12/1(水)18:00~
KAAT公式instagram(@kaatkanagawa)にて↓https://t.co/xDxP2SuUeh pic.twitter.com/6HYtzK37EF
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とても興味深い内容でした。
私は、お二人のめざす、演劇とはなにか、劇場にかける思い、KAATのこれからの展望、などをメインにお話をされていくのかと勝手ながら思ってたんだけど、全然違った。
今上演中の、『アルトゥロ・ウイの興隆』についてここまで深く掘り下げて話してくださるなんて想定外の嬉しさ。
白井さんが、本作品にこめた、思い、狙いについて、
“お客さんのなかで同化してもらうことを狙ってはいたけどほんとの狙いはそこから高揚してしまう自分をひいてみてもらうことが目的だったので今回は
お客さん自身も
この芝居を、のりながらも、ちゃんと冷静に観てる。
劇の一部になることを楽しんでるお客さんがいる。
役割として挙手してる。
この違いは面白い”
と、話されてるのを聴きながら、
さすがだよね。
観客の心理をちゃんと掴んでる。
私たち、見抜かれてるわ。
と思わず苦笑い。
しばしば
客席で観劇されてるお姿をみかけて、
いろいろとチェックされてるんだとはわかってたけど、まさか、私達観客まで観察されてたなんて、ね。
ぬかりないというか。
でも、考えればそうだわ、だって、この作品は体験型演劇
観客も作品の一部だから演出家が気にするのも当たり前。
再演の今だから私にもその自覚は多少はある。
そして、
話の中心を占めたのが、主演の草なぎ剛さんのこと。
書き起こします。
草彅さんすごいですね。
いや、すごいですね。あれだけの台詞量、動きも歌も含めてですけど
あれだけのことを体のなかにいれていただいて
ウイというものに自分を入っていく感じ、研ぎ澄ましていく感じ、それがね、とても見ていて清々しいというかほんとに見事だなとおもうんですね。
楽屋なんかで話してると、日々3時間の演目のこの時間に自分を集中させていらっしゃるのがすごくわかりますし、
自分でも、ほんとに集中して楽しいんだと。
集中してウイのなかに生きることがすごく楽しいと仰有ってて。
僕はちょっと感動したんですけど
「白井さん、そうしないとウイに追い付かないんですよ。」
出た言葉に感動した。
それくらい集中していかないとウイという不気味な得体のしれない人物、ひとつの自分が思考したものだけに
人間性をそぎおとしてでもそこに邁進しようとする不気味な存在というものを演じるには集中していないと自分がおいつかなくなるから、今は集中している自分がとても楽しいと言ってくれてました。
本番前には
ナイフを研いでいるような静けさですね。
自分を研ぎ澄ましてる感じがすごくする。
このカンパニーのアルトゥロ・ウイを背負うということは
非常に孤独な部分もあると思うんですね。
それがものすごく胸を打たれた。
すごくいいもの観たな。
俳優というものを観たよろこび。おおいに感動した部分ではある。
草彅さんはいろんなこと、吸収力がすごいんだよね。
それは
初演の時に、劇団の中山祐一朗に 「稽古どう?」て聞いたら、「底無しのスポンジみたいなんだよ、草彅さんて。すごいんだよ。どんどんどんどん吸収しちゃうからさ」って。「どういうこと?」ておもったんだけど公演観てそれは納得しました。
ノートさしてもらうと、それがすぐ反映されてきて進化していく。どんどんどんどん研ぎ澄まされていって答えを出していってくれる。
だからかな。終わるまでぐっと集中してるから、終わったとたんのカーテンコールよく間違えるんですよ。
今は間違わないけど、最初の4、5回目までカーテンコールに入った瞬間にふっと抜ける。そこがまたかわいらしいというか素敵だな。
KAATの現芸術監督長塚氏と前芸術監督白井氏、このおふたりからの舞台人としての草彅剛への絶賛の言葉の数々
嬉しすぎる。
中山さんが図らずも発した "底無しのスポンジ" みたい。
つかさんを思い出さずにはいられないよ。
「好きにやってくれ、俺が責任を取るから、と言ったら、吸い取り紙に水がすっとすいあげられるような感じで、↑こんなふうに伸びていきましたんでね。
→こういうふうにならないんですね、天才というのは。↑こう上がっていくもんなんですね。」
白井さんもスポンジという言葉を使ってはないけど
「ノートすると、
それがすぐ反映されてきて進化していく。どんどんどんどん研ぎ澄まされていって答えを出していってくれる。」
つまりはスポンジでしょ。吸い取り紙なんでしょ。
草なぎ剛は誰から見ても天才なんだよ。
長塚さんも白井さんもあえて、その二文字を口にしなかっただけで、そう思ってるに違いないもの。
長塚さんの、“俳優と言うものを観た”
それだけでもう十分。
剛くんは、
自分は役者じゃない、役者だなんて、おこがましい、て、言うけど
「集中してウイのなかに生きることがすごく楽しい。
そうしないとウイに追い付かないんですよ。」
この言葉は、真の俳優だからこそ、出てきた言葉だよ。
ほんと無自覚の天才さん。
これほどの凶器はない。
長塚さんの
「いい作品は繰り返し上演されるべきだと僕は思う。」
この言葉に私、しがみついていいですか?
『アルトゥロ・ウイの興隆』
KAATの定番演目にして
毎年とは言わないけど定期的に繰り返し上演してくださることを願います。
いよいよ、明日、神奈川公演の千秋楽です。
今日のおふたりの話をきいた上で
観る、参加する
『アルトゥロ・ウイ』の世界は私のなかでどう変わっていくのだろうか。
やはり、否応なしに同化してしまうのか、
それとも、戸惑いながらも異化できるのか・・・
あのカリスマ性に正気を保てることが果たしてできるのか..
自分との戦いの場になりそうです。