yumipon0524’s diary

草彅剛さんが大好きです。剛くんメインのひとり言日記です。

私が見たアルトゥロウイ

目が覚める。
もう朝だ。
急いでベッドから抜け出しお弁当作りから始まり朝食の準備をする。それからみんなのお尻をたたいて、それぞれの場所に送り出してから、掃除洗濯をすませ、息つくひまもなく、私は私の職場に向かう。
あっという間に夜になり
そしてまた朝が来る

そんないつもの日常に戻った。


悲しいことに記憶というのは時の経過とともに薄れていく儚いものだけど
それでも感覚はしつこく残る。
脳内に焼き付いたワンシーンワンシーンが途切れ途切れに甦る。
そんなことをしみじみと思いながら
その私の体が観たウイの欠片をここに残しておこうと思う。



2月2日
舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』の千秋楽。
1月11日から始まった舞台の幕がこの日降りた。

何度かめのカーテンコールでの観客の興奮さめやらぬ絶叫のさなか、
中田さんはじめとするオーサカ=モノレールのみなさんがワゴンにあがりはじめる。
そして、そのあとに
剛くんも続いた。
私たちの声にならぬ声が劇場を揺らす。
これは、もしかして、もしかして、心臓がドキンドキンと波打つ。

剛がマイクを握った。おー、きたーーー!
期待通りの展開になる。
演奏が始まった。
剛の体が曲にのって、しなやかにのびやかに艶かしく、くねる。
あー、ほんとに美しい。
体幹がしっかりしてるからどんな無理な体勢になってもブレがない。
どの角度からみても華やかでセクシーで痺れるの。



スクリーンには
We Rise
We Rise
と映し出され
中田さんが我々を煽る。
気付いたら、私は、腕を突き上げ
We Rise
We Rise
とシャウトしてた。
私だけじゃない、
そこにいる誰もが立ち上がって魂をぶつけてた。
この一体感に酔いしれてる。が、決して煽動されてるわけではない。陶酔でもない。
そうしたい衝動に駆られてるだけ。
私がそうしたいからそうしてる。
目の前にいるのはウイの姿をしているけれど
ウイではない。草彅剛だ。

私たちは知らず知らずのうちに崩壊してた理性をここでやっと取り戻した。
そして、自分の意思でここにいる。
そんな高揚感絶頂のなか幕が閉じた。
最後の最後に
私たちはウイの独裁政治に狼煙をあげたのだ。
私たちは拳を突き上げ、立ち上がったのだ。


すべてはこうして始まった。


12:00

出演者が次々にステージに姿をあらわす。
オーサカ=モノレールの中田さんが
「今日は盛り上がってまいります。」
と、第一声を放ちます。
そして、
"我らがアルトゥロ・ウイ~"
の掛け声で、
ウイが赤い衣装にマントを羽織って華々しく登場してショーの始まり始まり。

    ~Get up!~
https://youtu.be/GsyXg48yl90


いくぞ、お前ら。
歌え
踊り狂え
魂を解放しろ
そして、俺様を見ろ


軽やかに、しなやかに、それでいて、イヤらしいほど艶かしくしたたかに、
そして美しく舞うウイの体からそんな叫びが聞こえてくる。



極めつけは、
"俺はここにいる"
といわんばかりに、ウイが、ステージから客席におりたときだ。
流れる空気が突如として変わった。
それまでのノリノリにショーを楽しむ雰囲気から
いきなり興奮の坩堝と化して、なんともいえない緊張感が漂う。
本物のオーラを間近にしたら声さえも出なくなるんだね。
誰もが息をひそめて、降臨したカリスマを見てた。
そのなかを
あの目が私の方に向かってくる。
ギラギラと卑しくも妖しく光る銀色の目だ。
私は脅えながらもその光に引き寄せられて身動きできなくなる。
その目が私を呑み込んでく。
息が出来ない。
と、同時に気付いたの。
オペラグラス越しでは見えなかった
ウイの弱さを。
だからこそ
人を嘲笑うかのように舌を出す
目を剥き出し威圧する。
腰をくねらせエロス大放出。
これは、警察につかまるのをおそれて何も出来ないでいるちっぽけな街のチンピラの、精一杯の虚勢ではないか。
そう思いながらも
そのたかがチンピラの意のままになって逆らえない自分
魅惑され翻弄され征服され、
私が私で失くなりそうよ。



この男は、野心のためにはなりふり構わない。
媚びへつらい、土下座までして泣き落としもするし、脅迫もなんのその。
このあまりに小物すぎるウイがなんだか痛ましくもあるのよ。
そんな彼だとわかっていながら、ひとたび演説が始まると、
巧みな話術に引き込まれ
その全てが正しいと思い込まされ
彼こそが救いだと
ハイル、ヒトラーならぬ、"ハイル、ウイ!"と右手を高々と挙げてしまいそうになる自分に気付くの。
その光景を腹心ローマが不敵な表情を浮かべてじっと見ているのが不気味。
またあるときは、ウイの傍らで小気味良く切れ味するどく踊ってる姿に
ローマあってのウイなんだよね。と思いしらされる。
なのに、
民衆の心を自由自在に操り独裁者にのぼりつめていくなかで
ローマまでもウイは粛正することになる。



ウイは自分に抵抗するものには容赦なく殺戮を繰り返す。
ウイがその手を動かすだけで目配りするだけで
善良な市民が死んでいく。
そしてそのことを誰も追求しない。
正当化されて闇から闇に葬られていく。





いきなり銃声が響き渡る。

火薬の臭いが鼻をつく。

シーンとありとあらゆるものが凍りつく。
深い深い奈落の底に落とされる。まさに死の闇。

それまでウイに抵抗してた人の顔が恐怖でひきつる。
そして、絶望と諦めと悲しみの表情に変わる。
それを私はオペラグラスではなく、この目でみて、肌で感じて
恐怖に怯えた。

それをウイは青白い死んだような目でみてた。
ぞっとする光景だ。

"あなたは正義だ。あなたに従います"
私は思わず手をあげた。
手をあげるしかないじゃないか。
ハイル、ウイ!と平伏するしか生き残る道はないのだから。






シカゴとシセロを掌握したウイが
勝利の雄叫びをあげる。
そして、これから次々と保護下に置こうとしてる都市の名前を叫んでいき、最後はニューヨーク!と絶叫。
背後の星条旗

となる。
恐怖政治の始まりだ。
身震いした。背筋が凍りつく。
それなのに、
ウイは虚ろな目で正面を見据えたままだ。
その目に勝利の輝きはなかった。
彼もまた深い闇のなかで生きてた。
お前は何をしているのだ。
これでほんとうにいいと思ってるのか。
自問自答してるかのような哀しみの色を私は見た。



そうよ、この人にもまだ人としての、弱さがあるの。
ローマを本心ではないにせよ、騙した形になって殺害した罪悪感から
その亡霊に怯える弱さ。
ウイに殺されたローマが

「お前をのしあげたのが裏切りなら
お前を破滅させるのも裏切りだろうぜ。」

と言い放ちます。
でも、この亡霊は、ウイ自身がつくりあげたもの。
だから、この言葉は、ウイが自らに投げ掛けた言葉になる。



スクリーンには、

"熱狂する大衆のみが操縦可能である。

アドルフヒトラー"

と映し出され。




最後に
オーサカ=モノレールの中田さんが
こう語ります。

「かつてこのような輩が全世界を支配しそうになったのです。
よくみること、行動することを学びましたね。」
と。



そして、スペシャルカーテンコールで
心ひとつになってシャウトした
We Rise
について

と教えてくださいました。





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ウイはなぜ縛られてるのか。
どこに向かって必死な形相で
叫んでるのか。
あの無数のマイクはなんなのか。
演出の白井さんの意図が
やっと朧気ながらわかった気がしてる。

これはもうひとりのウイ。

ウイ自身も、己の欲望のままに壊してきたものの報いと、
そうやって築いてきたものの危うさと、たくさんの大事なものを犠牲にしてきた喪失感に、己を縛られ身動きとれなくなってるんですよ。
己と闘ってるんですよ。
道が見えなくなって足掻いて足掻いて足掻いてるわけ。
でも、これは、我々の姿でもあるんですね。

時の権力者には、自分の身の保身のためになびくしかないと諦めの現状に、忖度しておけば安泰だと安易な明日に、
これでいいのか!
と立ち向かう気概がないと、
また暗黒の歴史が繰り返されていく。

独裁者を作り出すのは結局は我々なんです。
自分の首を自分で絞めてどうするよ。

今こそ立ち上がれ。
言葉で射られても
目で蔑まれても憎悪と恐怖を向けられても立ち上がれ。
嘘はいらない。
真実だけをみていこう。
そうすれば自ずと光はみんなに射してくる。
未来に
希望の扉はひらかれる


つかこうへいというひとりの天才の手によってこの世に送り出された化け物は
白井晃というもうひとりの天才の手によって熟成し巨大化しました。



天才は限界をしりません。
常にさらなる高みを目指します。飽くことなき探求心で人生楽しんでるから
その道にもう迷いはありません。




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Six Days of Madness

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