二度めのプロポーズ
剛くんの作品のなかで一番好きなものは何ですか？
そう聞かれたらなんて答えよう。。
うーん、、もちろん任侠ヘルパーです！と即答したいとこなんだけど、ひとつだけと言われたら、これです『僕と妻の1778の物語』
なぜこれかって？答えは簡単。朔とせっちゃんが大好きだから。このふたりの、お互いがお互いを想う気持ちが細やかな愛情に溢れてて、それでいて重すぎず、朔太郎の子供のような笑顔と、包み込むようにそっと寄り添うせっちゃんの彼への思いやりに心が温かくなるから。
映画化になる話はあったけど、準備などに時間がかかってなかなか決まらなかった。そんななか、あの謹慎中のときに、「映画準備してますからね、楽しみにしていてください」という手紙を星監督からいただいたエピソードが大好き。僕の歩く道の第2話の、動物園での就職がきまって自転車での帰り道の撮影の合間に、「映画やりたいですね」とお互いに言い合った
その時の空がすごくきれいで、この時の空と僕妻の空は繋がってるというイメージなんだってある雑誌のｲﾝﾀﾋﾞｭｰで剛くん話してたんだよね。
雲ひとつない真っ青な空見上げる度に、朔とせっちゃんの顔が浮かび上がる。車椅子から立ち上がり青空に向け両手を広げて歩き始めるせっちゃんの姿を思い出す。知識屋の空だーって思う。
３６０度ぐるりと大きな空が見渡せる丘の上、ここで何度笑みを浮かべただろう。UFOから巨大ロボットが降りてきたり～
1778話目の原稿をせっちゃんが逝った空へ放ったのもこの丘だったね。。
「ひとりになっちゃって大丈夫かな」てせっちゃんが呟くシーンがあるんだけど、わたし、ここ大好きで、何度みても涙腺崩壊しちゃうのよ。せっちゃんは自分の余命わかってて、朔太郎を一人残していくのが不安なのよね。朔太郎の無邪気すぎる笑顔と現実をみつめるせっちゃんの姿がたまらなく悲しくなるの。
穏やかな顔して永遠の眠りについたせっちゃんと病室でふたりきりになったとき、窓から入ってきた風が原稿用紙を吹き飛ばすでしょ。それを拾ってたら、「それじゃ、エッセイじゃない」て節子の声が聞こえてくるの。朔太郎への思いの深さ強さにここでも感動しちゃう。節子の朔への愛は母性愛に近いんだよね。
病気が進行してやつれていくどころか、ますます透明な美しさに溢れていくせっちゃんは、朔太郎の目にはこう見えるであろうという描き方をしてるとおもうの。朔太郎にはせっちゃんはいつまでも聡明で美しい理想の女性であったわけで、美しいままの姿で朔太郎の中で生き続けていくのです。
カエルの人形を突き上げて「笑える小説を書こう」って笑いながら走り出してるシーンもすき、縁側に腰をおろして、一緒に原稿を読んでる姿が美しかった。せっちゃんがいないと真っ暗な部屋に座り込んでる姿も愛おしい。北海道に旅行に行き、木の下で二人肩を並べて座って「悪くないよ、今の僕らも」「うん、ここがいい」朔太郎の肩にそっともたれるせっちゃん。この二人がほんとに好き。パラレルワールドの二人はしびれるほどかっこいいし。伸びてたひげを剃ってるシーンも男の色気があって好き。
この剛くんを星監督は絶賛してたよね。胸のうちの悲しさを抑えただ静かに存在してる、男の色気を妙に感じるって。
好きなシーンあげはじめたらエンドレスになっちゃうよ。
でもね、やっぱりラストの１７７８話最終回の原稿を書いてる姿に号泣してしまう。完成試写会でこらえきれなくて嗚咽もらしてしまった。今のあなたなら読める書きかたをします。て、ペン先を浮かせたまま書き始めるの。せっちゃんの心に書いてるんだよね。せっちゃんだけのために書いてるんだよね。
「また一緒に暮らしましょう」
これほど愛のつまったラブレターはないでしょ。朔ちゃんの、せっちゃんへの二度めのプロポーズ。。朔とせっちゃん大好きだー。
星監督はこの作品を世界にだしたかったのよ。草彅剛を国際的に活躍すべき役者だと思ってくださってる。地位とか名声とか人気とか話題作とか大作だからとかそんなもの関係なしに、丸裸にして、作品の内容だけで真っ向勝負出来たらどんなにいいだろう。
いつの日か、世界のレッドカーペットを二人で歩く姿見れたらいいな。
今夜は今剛くんが全力投球してる『嘘の戦争』7話。星監督、相変わらず、他の作品ご覧になってないのかな。。監督のまだ知らない草彅剛がそこにいるかもしれないのに。
。その発見をしたくないんだった。嫉妬しちゃうんだろうね。
でも、私はぜひともご覧になっていただきたい。星監督のよく知ってる“魂の叫び”とはまたちがった叫びを聞いてもらいたい。そして、監督の愛する 草彅剛 を新たに演出してもらいたい。
