yumipon0524’s diary

草彅剛さんが大好きです。剛くんメインのひとり言日記です。

台風家族~鈴木家の今

小鉄:美代子!それ持って逃げろぉぉぉぉ!!
美代子:らじゃぁぁぁ

そんな大人たちを
ユズキは
サイテー
と朝陽にも負けないとびきりの笑顔で笑いながらつぶやいて

The end


映画はここで終わる。




ちょっと、それないんじゃないの

と、麗奈

俺にまかせろ、結婚資金!


と登志雄。


呆れ顔のまま京介は走る

これ、中継したい。俺マジでユーチューバー諦めてないなからぁぁ

とは、千尋

朝陽が昇りはじめたあの海辺で
こんな会話が延々と続いて
そんな大人たちを
以前のユズキなら、
バカにして冷めた目でひややかに見つめてたであろうに、
今そこにいるユズキの顔に浮かぶのは
未来の扉を開いたキラキラ輝く眩しいほどの笑顔


あの日海でさんざんはしゃいで、マジで勿体無いと言い合いながらも
警察を通して銀行にお金を帰した彼ら。
その後の千尋はコンビニの雇われ店長しながら自称ユーチューバー。くそつまらない動画をあげ続けてるし、
麗奈と登志雄は結婚したんだよ。
「あいつは、頼りないし、すぐ嫉妬してめんどくさいし、頭悪いし、条件にカスリもしない。
将来に不安のない高収入で上ランクの男を捕まえてやる!」と鼻息荒く宣言してた麗奈が、
「結婚してくれってしつこくて、仕方ないから希望をたくしてみるか」とか言いつつも
まんざらでもなさそうなんだよね。
彼女もようやく気付いたみたい、
今の社会、確かにお金がすべて、みたいなとこあるけど、
人として生きていくなら、そこに愛がないと心豊かな生活は送れないこと。
愛がない人生が、いかに惨めでみすぼらしいことか。
ひとりぼっちは寂しいよ、その寂しさはお金をいくら積んでも埋まらないんだよ。

そして小鉄はというと、
ユズキの、おじいちゃんとおばあちゃんの家に住みたいという、たっての希望から、生まれ育った
あの家で美代子とふたりで穏やかな日々を過ごしはじめてる。

そのユズキはただ今留学中。
ピアノを習いたいと言い出した5歳の頃から
役者になるという小鉄の夢は娘の夢を叶えさせることに変わったの。
そして、
ようやく、その夢の扉を開いて歩み始めたんだね、ユズキと美代子と3人の夢。
そのための留学費用捻出するのに大変な苦労してるであろうに、
美代子の、

なんとかなるさ、生きてさえいれば

このエネルギーが
鈴木家の屋台骨。

女は強いのよ
母はとてつもなく強いのよ。
そして、その母の愛は海より深し。山より高し。


子を思わない親はいない。
だけど、それを表にだせない、
どうやって伝えていいのか、わからなくて戸惑う。
素直に言葉にするのは照れもある。
親の沽券にかかわるとでも思うのか、つまらない見栄とか意地とか、そんなものにがんじがらめにされて、結果、つっけんどんになってしまうの。
荒々しい言葉や態度でしか

"あなたを大事に思ってる"

って言えない大人もいるの。


そんな親の心子知らずで成長した子もそのうち親になる。

知らず知らずのうちに
気付いたら自分も親と同じことして子供を苦しめてた。


悪循環。


で、気付くのね、
親の愛に。
あのときのあの行動に
あのときみた親の背中に
自分への深くて広くて強い愛があったこと。
ずっとずっと大切に守ってくれてたこと。

そして、やっと
ほんとの意味での家族になる。

お袋から嫁に
その味が受け継がれる。

親の名をとって子供に名前をつける。

そうやって紡がれていく家族。

京介があの夏に産まれた娘に一光と名付けた。

一鉄の一と、光子の光で "一光"
と書いて

ひとみ。と読む。

輝く一筋の光

いい名前だわ。
あのとき、それぞれの心の目に映ったに違いない一筋の光。



鈴木家に
光が射して
その光が温もりを産み温もりは優しさとなり、
愛が深まる。


家を支える大黒柱にたくさんついた
横まっすぐに引かれた線は、

はしらのきずははおととしの5月5日のせいくらべ
ちまきたべたべにいさんが
はかってくれてせいのたけ~🎵

って思わず口ずさんでしまいたくなる、そんな子供たちの成長の証。

いったん、途絶えてたその傷を毎年毎年そこに残す作業が
またこれから始まっていくのね。



鈴木家の台風は過ぎ去り
今、日溜まりのなか、
仏壇に生けられた花
初夏の匂いを運んでくる風
そして、あの海で撮った家族写真



自分が信じた道を堂々と進めばいい。運命なんてくそくらえだ。
自分の人生は自分だけのものなのだかや恐れずにどこまでも進め

と、
それぞれが確実に生きている。
自分の足でしっかりと歩き始めた。




あの日確かに俺たちは家族みんなで海にいったんだ。


小鉄京介麗奈千尋
美代子ユズキ登志雄

それぞれの胸にこの思いがあるかぎり。彼らはもう安心だ。



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台風家族

台風家族

  • 作者:市井点線
  • 出版社/メーカー: キノブックス
  • 発売日: 2019/05/22
  • メディア: 単行本