yumipon0524’s diary

草彅剛さんが大好きです。剛くんメインのひとり言日記です。

私のラスト台風家族

また会おうね。
ラジャーーー


10月3日で
『台風家族』わが地元の劇場は上映終了しました

3週間限定での公開であるにもかかわらず、9月16日で終了予定と公開前から決まってて、ありえない、最低と思った。
ポスターすら貼ってなくて舞台挨拶に来てくれないのも当たり前だよね。
ライブビューイングも当然のごとくなかった。
それが26日までに延長になり、そして、さらに10月3日までの続映になる。

さんざん愚痴ってばかりだった私は、謝罪と感謝の気持ちをこめて、自分のラスト台風家族は地元で、と決めてた。

私は映画鑑賞は基本一人。
ひとりでどっぷりその世界にひたり、
歩いて家路につきながら、
道々いろんなシーンを思い出し感慨にふけるのが大好き。
ふと目につく雑草や石ころ、上を見上げると広がる空、雲が流れていき、飛行機が飛んでいく。
風が頬を軽く叩く
髪が乱れる
太陽の陽射しが眩しい
草の匂いがしてきた

そんな自然のなかで
草彅剛の描き出す私だけの世界観を再現するのが気持ちいい。 


『台風家族』
このタイトルがそのまますぎて逆に面白いんだよね。

バラバラになってた鈴木家の兄弟が
銀行強盗をして姿をくらませて10年になる両親の形式的な葬儀をするために久しぶりに実家に集まる。
そこから途切れてた家族の時間が再び回り出すことになるの。

右回りにぐるぐる激しく回ってる
ペットボトルの風車
祭壇に置かれたくるくる回る謎の物体と、

刻々と時間が過ぎていく様に、この小道具がうまく使われてる。
兄弟の意見が珍しく合致したかと思いきや、もめに揉めたりしてる関係性は、動いたかと思えば、いきなり止まったりする扇風機と重なる。

そしてね、
ビデオテープ。
この使い方が泣けるのよ。
すべてがここに繋がっていくの。
これ無くしてはこの作品は生まれてないと思うくらい
見事に軸になってた。


藤竜也さん
さすがの存在感でした。


父一鉄は、

トイレ
気を付けてね
危ないよ

などなど、

痴呆がすすんだ妻のためにあちこちに張り付けてた張り紙をすべてはがし、
ハエが群がる紙オムツ等のごみの山もきれいに片付け、
食事の後片付けもきちんと済ませて
そして、二度とここには帰ってこない覚悟をして自分で編集してタイトルをつけた1本のビデオテープを一人で観たんだ。


張り紙を剥がした跡がトイレのドアにも、テレビの後ろにある家具にも残ってた。

      
     ❬俳優鈴木小鉄

最初は台詞がほんの一言しかなかったり
写真のみの出演だったり
ゾンビの一人だったり。
それが、台詞も増えてそれなりの見せ場もあるくらいになって
嬉しかったんだろうね

売れない役者でも一鉄にとっては自慢の息子、
ビデオを観てる背中からこぼれ落ちる息子への愛、惜別の情。
さようなら、ありがとう、
がんばれよ、
幸せになれ


そして
光子を連れて銀行強盗に行く。
老々介護にも疲れてたんでしょ、
日増しに痴呆が進む妻の姿を見ていられなくなったんでしょ。


静かな覚悟ほど
そこにこめられた思いは強くて重いのよ。





まだ父親が犯罪者になる前
小学生のユズキと小鉄と美代子の幸せに満ちた家族の約束ごとに、“ラジャー”と、ふんわり、優しく答える美代子。
それがラストでは
小鉄からの
「美代子、それもって逃げろーー」
の指令に
力強く逞しく "金、金、金ーー、ラジャー"と腹の底から叫んでるのよね。


そんな親を見ながら
冒頭、ニコリともせず実に暗い目をしてたユズキが

最高の笑顔で
「最低、だね。」
と言うの。

パパが大好きといわんばかりに
無邪気に素直にちょっと大人ぶって“ラジャー”と返事をしてた子供の頃のユズキのまんまの目をしてた。



お母さんが好きな海にみんなで行こうと約束してたのに台風がきたばかりに行けなかった、その海に
どんな姿であれ、どんな形であれ
家族みんなで来ることができて
写真を撮った。
家族揃ってキャンプに行って撮ったあの頃とおなじように、
幸せいっぱいの顔をして。


まさに家族の再生の物語。


この日の、ラスト鑑賞で

私のなかでどうしても回収できてなかった伏線を
やっときれいに拾うことができました。
すべてがひとつになって、あらためて感じたのは
草彅剛は天才、いや、大天才だってこと。
つかさんもそう仰有られてて、知ってたつもりだったけどまだまだでした。
いつだって、剛くんは私の知らない草彅剛をこれでもか、というくらい見せつけてくれる。

"そう簡単に僕は掴めないよ"
と突きはなされる。

草彅剛は憑依型の役者だとよく言われるが
そんな安易な言葉で片付けてほしくない。
憑依なの?
とりつかれたらそこに本来の草彅剛はいなくなっちゃうよ。
違う、憑依とは違う、
役が降りてくるの、草彅剛のなかに、その人がおりてきて共存するの。
だから、草彅剛のその人が誕生する。
唯一無二の、
そこにいてくれる人になる。

市井監督の、

"草彅剛の小鉄がみたい。" 

の、注文に、

彼は

監督の想像のはるか上をいく、鈴木小鉄という一人の男を
見事に映し出したでしょ。

畏れ入りました。
全面降参です。



いい作品はいい現場からうまれる
とよく言われてるけど

youtu.be










まさにその通りでした。



クスッと笑ってポロッと泣いて
胸にギュッとくるものあって
見終わって残るものは
家族っていいな。てこと。

家族だからわかりあえてると
つい蔑ろにしてしまったことたくさんあるよね。
甘えからくる我儘もいっぱいしてきたね。
家族だからこそ、見えてこない闇があって
そこを悪魔が囁くから
拗れてくるんだよね。

親の愛って自己犠牲の上にあるんだよ。
自分の命より我が子の幸せを願うんだよ。
姉弟妹この絆もこれほど強くて頼りがいのあるものはないんだよ。

台風一過
朝日が昇り
鈴木家のみんなが海にむかって走っていく。
無邪気に戯れてたとおもったらいきなり駆け出して、また大騒ぎ。
姿なき声がスクリーンから溢れだし
そんな大人たちを
満面の笑顔で
最低と明るくいい放つ娘ユズキ。


あー、なんだろ、この幸福感は。


フラワーカンパニーズさんの
西陽が流れ、

「50×4」


私の気持ちはどんどん洗われていき
清々しさと明日への希望、生きる力が漲ってくるの


ほんとにいい映画。

10月3日でほとんどの劇場での上映が終了しました。


が、
これから始まる劇場もあります。

テアトル新宿 10月5日~
京都出町座 10月12日~
広島夢売劇場 11月1日~
北海道 シネマトーラス 11月2日~
静岡 シネプラザサントムーン 11月8日~
塚口サンサン劇場 11月15日~
豊岡劇場 11月29日~




eigakan.org



ひとりでも多くのかたに観ていただきたい
心からそう願います。


そして
台風家族
台風家族(市井点線[市井昌秀+市井早苗]のサイン本)※完全数量限定


是非ご一読ください。