青天を衝け(3)~「栄一、仕事はじめ」
渋沢栄一と喜作の屈託のない笑顔が実に爽やかで心地いい。
あのおおらかさに気持ちがなごむしパワーを貰えるのよね。
栄一は、
動く動く全然じっとしてない。
口も体も漲るパワーでいっぱいでしょ。
そして
思考がポジティブで
今を精一杯生きててさ。
なのに、
とっさんにほめられたい一心でかっさんに泣きつくところなんか
素直で可愛くて抱き締めたくなる。
最愛の息子にあんなふうに頼まれたら
母親なら息子のやりたいようにさせてあげたくなるのも仕方ない。
母親は特に息子には甘くなりすぎるのです。
栄一が表情豊かに動けば
草彅慶喜はというと
私たちには見えない能面を被ったまま。
本心は内に秘め
淡々と冷静に
今の自分が置かれた立場を俯瞰してる。
泰然自若でありながらも深い哀しみとやるせなさがふとしたときの表情から漂ってきて
胸を締め付けられるの。
に対して
栄一は
自分の気持ちに実に素直。
相手を真正面から見据え
思ったままに動き、口にする。
栄一の動
慶喜の静
栄一の陽に
慶喜の陰
このふたりを
並列的に描きながら
対比させていく手法が実に新鮮で面白い。
両者がはじめて交わるのが第1話冒頭のシーンになるんだよね。
栄一
「すでに徳川のお命は尽きてございます。
もし天下にことのあったとき、あなた様がその大事なお役目を果たされたいとお思いなら、どうかどうかこの渋沢をお取り立てくださいませ。」
慶喜「おもてをあげよ。言いたいことはそれだけか。」
栄一「いな。まだ山ほどございまする。」
慶喜「この者たちを明日屋敷へ呼べ。」
そして、栄一は慶喜に仕えることになる。
慶喜が栄一のひたむきでまっすぐな熱い思いにどうこたえていくのか、これからの展開が
楽しみで仕方ない。
それにしても
草彅慶喜の
佇まいの美しいこと。
品格があり貫禄もあり、所作が優雅。
そして
背中で語る男は健在です。
気高い背中が泣いてます。
静かな哀しみに溢れてます。
"語らなくても物語を引っ張っていくカリスマ性"
まさにそれ。