yumipon0524’s diary

草彅剛さんが大好きです。剛くんメインのひとり言日記です。

(心の叫び~自由に観させて)

ある監督がね、公開された自分の作品について、

「感じ方は人それぞれ。
人の数だけ意見が富んで素晴らしい」

と言いながらも

「これは娯楽映画だ」

と何度も強調するの。
「社会問題はだれも見ない。映画祭やSNSでインテリ気取りが唸り議論するだけ。なので娯楽。多くの人に観てほしい、それだけ。」

だって。


作り手には、
自分の描きたい世界があって、その思いを丁寧に丁寧に魂こめて映像として作り上げていく。
それが映画。
作ったからには、
世に出したい、そして、
自分の思いをたくさんの人に伝えたい。
となるのも自然な流れ。

たとえ、その時代に受け入れられなくても

あっ、そうですか

とあっさり引き下がれない。


作品は我が子も同然。
そんな自分の分身を闇にうもれさせたくない。
この作品に関わったすべての人の思いを無にしたくはない。
何年かかろうとも
世に出そうとがんばる。

そして、親ならば、自分の血をわけた子供に、
こうあってほしい、と願うのも至極当たり前。


だけど....

「映画は観てもらわなければ意味がない。
観客が観てはじめて完成する」

と、ある映画監督が仰ってたけど
私もその通りだと思ってます。


だからね、

監督のこの作品にこめた気持ちはわかります。

だけど、
人それぞれ生まれも育ちも違うの。
環境が違えば
当然の結果として、物の見方捉え方も変わってくる。
同じ一つの作品を観ても受けとり方が一人一人違う。
みんな違ってみんないい。
それがごく自然だし、そうじゃないとせっかくの作品が死んじゃうよ。

そんな気持ちを無視したような言い方をこの作品の産みの親からされたら
観る側としては
困惑するんです。

"自分の作品に社会性はない。娯楽です。"

ほんとに心からそう言えるんですか?




"社会問題はだれも観ない。だから娯楽です。"


この言葉にどうしても蟠りが残ってしまう。

映画を作り
それをたくさんの人に観てもらいたい。

その切なる願いは
その作品に携わったすべての人たちの思いでしょう。

だから娯楽作品だとあえて強調するのは
社会性ある作品かもしれないと、どこかで思ってるからなんじゃないですか?
そう思われて敬遠されてしまうのが怖いんですか?

そんなにご自分のつくりだしたものに自信がないですか?


私には
娯楽作品だとは到底思えない。
いろんな生き方があり、愛にもさまざまな形があって
どれが正しいとか、間違ってるとか、
誰にも決められない。
いろんなメッセージを私は感じたし受けとりました。
私は自分の心の奥にある醜いものに気付かされました。撃ち抜かれました。
絶望も見たし、そこから希望を感じました。

そんな思いを頭ごなしに否定された気分です。

私はインテリを気取ってるの?


作り手が自分の思いを押し付けて
それがエンターテイメントなんだろうか。


その人の
心ままに
感じたままに
自由にいさせてほしいよ。


私は監督に

「純粋な気持ちで
ひとりでも多くの方に観てほしい
と思ってますか?」

そう問いかけてみたい。

とってもとっても残念な言葉でした。



そもそも娯楽ってなに?

辞書をひいてみると、
人の心を仕事から解放して楽しませなぐさめるもの。


とありました。


ミッドナイトスワンを観て

日常から解放されたかな
楽しませてくれたかな
慰めになったかな。


ただ笑えて
泣けて
感動して
観てよかった

素直にそう思える作品だったかな。

私には
とても重かったです。

でも、その重さを知ったことで
自分を見つめ直すことができました。

人はそばに寄り添う人の力でこんなに強く優しくなれるんだ。

無償の愛とはこういうことか。

しみじみと感じました。

生きるって苦しいね。
辛くて夢も希望も失くしちゃうね。
孤独をひしひしと感じちゃうね。
だけど
それでも生きていかなきゃだめだよ。
生きてて欲しかった,,.



私はね、そんな思いを単なる娯楽として片付けたくはない。



これは社会性はありません。
娯楽作品として観てください

と、お願いされた、というならまだしも

娯楽です

と言い切られてるから
余計モヤモヤしてしまう。


ならば、私からもお願いします。

見方を強制しないでください。

それこそ
大空を羽ばたく真っ白い白鳥のように
縛り付けることなく
自由に感じさせて欲しい



ほんとに、素晴らしい作品なんです。

ミッドナイトスワン

ひとりでも多くの方に観ていただきたい。
観るたびに受けとり方も違ってくると思います。
奥行き深く余白もあります。そして
余韻がいつまでも残り
それに引きずられてしまうんです。
俳優力
脚本力
音楽力
すべてに力があります。
それらが見事に融合してとんでもない化物を産み出しました。

だからこそ、娯楽という2文字で語られたくなかった、私は。
ほんとにほんとに残念です。



それとも
娯楽とは本来こういうものなのだろうか。

エンターテイメントというものがわからなくなる。