yumipon0524’s diary

草彅剛さんが大好きです。剛くんメインのひとり言日記です。

眉村氏~朔太郎とせっちゃん~

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眉村卓氏の訃報をしったとき、
私は
残念だ、
悲しいという気持ちより
よかったね、これからはずっと一緒だね、と、どこかほっとした気持ちになったの。





病に倒れた奥さまのために 
笑うことで免疫力が上がると、1日1話の小説を書きはじめた眉村さん。
天に召された悦子さんが読める書き方をした最終回に、

長い間ありがとうございました。
また一緒に暮らしましょう

と綴った。

それから幾年もの時を経て
待ち人来る。

「長い間ひとりにさせてしまってごめんなさいね。
またふたりで一緒に暮らしましょう。」

って、奥さまからの返事がようやく届いて
お迎えに来られたんだとしか思えなくて。
そしてそれは眉村さんが待ち続けた瞬間だったんじゃないかってこと。



SF作家眉村卓といえば
なぞの転校生
ねらわれた学園
などの代表作があります。

だけど、
私のなかでは

なんといってもこれ。
『妻に捧げた1778話』

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

この作品は
星護監督の強い思い入れもあり、草彅剛&竹内結子さん主演で映画化されました。



草彅剛僕シリーズ3部作の集大成といえる、

僕と妻の1778の物語』です。

謹慎中の剛くんのもとに、星監督から
“映画準備してますからね、楽しみにしていてください"
とお手紙がきて、すごく励みになり、また一緒にお仕事できるって思うとすごく嬉しくなったとの剛くんの言葉をある雑誌で読んだとき、
星さんらしいな、と思ったものです。
草彅剛を宝物と言い、自分の知らない草彅剛は見たくないからと、他の監督さんが撮られた作品は絶対観ない監督だからこそ、の、
この簡潔な文章にこめた静かさのなかにある熱い思いをストレートに感じました。

この物語の主人公は、牧村朔太郎&節子夫妻
私の大好きな朔とせっちゃん。
このふたりを思うと胸がキュンとなる。
ふと空を見上げたくなる。
見上げた空は見渡す限り真っ青で雲一つないの。

~このときの空と
僕の歩く道第2話の撮影のときに見た空があまりに綺麗で、その空を見上げながら、"映画やりたいですね"
と、監督と言いあった空が
ここでこうして繋がった、
と、のちに語った剛くんの言葉が思い出されます~



そこに風がふわ~と吹いてきて
優しく頬を撫でる。
辺りにあるものへのちょっとした悪戯も忘れない。

そんな光景とともに
浮かんでくるのは
無邪気に笑う朔太郎と
そんな朔の傍らにいつもいて彼を大きく包みこむ節子の温かい眼差し。
そして
"ひとりになっちゃって大丈夫かしら" とため息とともに溢れる言葉。
その6文字のなかにあるせっちゃんの気持ちが切なすぎる。

彼女の大事な人はあまりにピュアだから
一人残していくには忍びないのだけど
病魔は確実に忍び寄ってきて、どう足掻いても避けられない運命に、
死にたくない、と、むせび泣く節子の姿があまりにも悲しすぎて、私もどれだけ泣いたことか。



せっちゃんと口喧嘩になった。
"せっちゃんが長生きするためにはなんでもする "
"でも、そんなこと朔太郎にさせるくらいなら
私なんかいないほうがよかったね! "   
気付くと節子の姿がない。どこを探しても節子はいない。
日が沈み真っ暗闇の部屋の片隅に膝を抱えてじっと座り込んでる朔太郎。
帰ってきた節子に、いなくなるなんてひどいよ、と泣きべそかきながら節子に抱きつく朔太郎。

まるで子供だわ。
母親に守られてなきゃ不安で仕方ない幼子のまま。
これじゃあ、節子は朔太郎を置いていけないじゃないの。

倒れた節子を抱き上げて寝室に運んだ。
「せっちゃん、なんで、そんなに軽くなっちゃったんだよ」
小さく呟き、声を押し殺して朔太郎は泣いた。


「そうだ、笑える小説を書こう。」
と、カエルのようなおもちゃを頭上高く
かかげながらウキウキ気分で一目散に家に走っていく姿

"旅行にいこう、新婚旅行だーー"

そう叫びながら、
ふたり、笑いあいながら
節子の乗った車椅子を押してスキップしながら並木道を走っていく、
最高潮に上機嫌な様子。
ふたりの希望と明るい未来がこの瞬間にはあるんだもん。



海みたいな青い空の下にそびえ立つ大きな木。
そこにふたり肩寄せあい、並んで空を見上げる
そして言うの
「でも、悪くないよ、今の僕らも。」
「うん、ここがいい。」

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私の記憶に残ってるシーンはどこをきりとっても
お互いがお互いを思いあってる姿。
そしてね、ふたりにとって、そこに穏やかな幸せがあるの。
その人の存在そのものがすべてなんだよ。
たとえ、そこがパラレルワールドの世界であっても
やっぱり互いを見つけて一緒に暮らしてる


最終回とだけ書かれた、
白紙の原稿用紙の前に座る。
そして朔太郎は
今日は今のあなたなら読める書き方をします、
と、書き始める。


幸せそうに笑いながら
でも、そのうちに涙が堪えきれずにこぼれ落ちる。


この結末に
私は
泣けて泣けて仕方なかった。とめどめもなく涙が溢れて止まらない。
おさえもおさえても嗚咽がもれる。

剛くんは、このとき、パラレルワールドの世界にいるせっちゃんへあてて書いたと言ってた。
人と人との関係には
愛情信頼など
目に見えないものがたくさんある。
このふたりの歩んできたものがここにあるんだよね。
文字にできる思いじゃないんだよ。



このシーン、星監督としては、ほんとは淡々と演じてほしかったのだが
一期一会の出会いであの演技ができた。
あのときにしか出来ない演技
剛くんにとっても宝物。生きていく上で大きな作品。



わたしにとっても
大事に大事に胸の奥にしまってた、それこそ宝物のような作品。
公開当時は毎日のように劇場に通った。
朔太郎とせっちゃんから温もりをもらいたかった。
そして、朔太郎が節子のために書いた1778話最終回の原稿を、すべてを受け止め、なんの躊躇いもなく、青空高く飛ばしたことは、
私に、未来へむけて前を向く勇気をくれた。

だからこそ、

眉村さんの御逝去はわたしには朔太郎の死でもあり、
それは、せっちゃんとの生活がまた始まる新たな門出なんです。


剛くんも
この作品とかかわったことで、生死について考えると日常の何気無いことがとても豊かに思える。今の大切さに気付くのは早いに越したことはない。

と、気付いたようです。


眉村さんがこの作品を観て

ともあれ懐かしかったのである

と記した。

剛くんと結子さんが演じる自分等をモデルにした夫婦に若い日のご自身の感覚が起き上がってきたと言う。
きっと今頃は
悦子さんとふたりで
この映画ご覧になってくださってる頃でしょうか。
それとも毎月1万円貯金で貯まったお金で旅行に出掛けた頃でしょうか



元フジテレビアナウンサーの笠井さんが
最後に剛くんにこう質問してます。


結婚したくなりました?

剛:まだいいかな。



  
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剛くんがお悔やみのコメント出してました。

天国で最愛の奥さまに再会していらっしゃるのではないかと思います。安らかにお休みください


ねぇ、剛くん、あなたのなかに朔太郎はまだ存在してますか?